グリンスの都市伝説
「グリンス」と聞いて皆さんは何をイメージするでしょうか?
医療従事者であれば、病院で使う手洗い用洗剤と答えるでしょう。
普通は医療・飲食関係でしか使わない強力な殺菌力を持つ洗剤です。
しかしこれを多用している業界がもう一つあるんです。それが無店舗型風俗業界です。
実際の現場では、グリンスは性病チェックになるとしてデリバリー系の業者の殆どが「グリンス」を使用しています。
だれもそのことを疑う人がいないという怖い状況に陥ってしまっているので、「グリンス」は百害あって一利なしの典型的なものだという事を知識として少しでも広めて欲しいと考え執筆に至りました。
グリンスを信じ切って心の支えにしている風俗嬢の方には、支えを外すことになってしまう事を先にお詫び申し上げます。
グリンス都市伝説の切っ掛け
グリンスで性病チェックができるとされた切っ掛けは、卸販売を行っているTCBという業者がグリンスの紹介記事に性病チェックができると謳ったことから始まりました。「グリンスとは」でGoogle検索を掛けると一番最初に出てきます。
この広告を見た風俗業者が「性病チェック」ができると信じ込んで風評的に広がり、業界では当たり前の話しとして捉えられるようになったと思われます。
製造元丸石製薬の見解
この様な記事を書くにあたって、個人的見解だけで物事を否定するとただの偏見になってしまうので、グリンスの製造元である丸石製薬株式会社・学術情報部に問い合わせをしました。
まずグリンスは、健常な皮膚に使うもので粘膜に使用することは控えて欲しい。非常に強い薬剤なので体内には絶対に入れないで欲しい。性病チェックができると言った事実は確認していないとの答えを頂きました。
つまり、性器を洗って痛がったら性病だという判断は全く根拠がない話なだけでなく、亀頭や尿道といった粘膜組織に炎症を引き起こす危険な行為と言えるでしょう。
厚生労働省の所見
グリンスの殺菌成分であるイソプロピルメチルフェノールについて書いていきます。
このイソプロピルメチルフェノールは多くの殺菌石鹸に使われている成分です。その殆どがグラム陰性菌である大腸菌やサルモネラ・ヘリコバクターといった食中毒に関わる菌の排除を目的としています。
厚生労働省から所見が出ています。
これだけ防げれば安心と思っている方はご用心ください。薬効として効果があってもそれはシャーレの上での話しで実際はそうもいかないことを次で書きます。
そもそも性病菌(ウイルス)は何処にいるのか
そもそも殺菌をするには、薬剤と目的の菌(ウイルス)が接触しなければなりません。それがグリンスで可能かどうか見ていきたいと思います。
- 淋菌:嫌気性菌の為粘膜表面にはいない。喉・尿道の粘膜下に感染する。粘膜下にいるので、仮に尿道内にグリンスを侵入させても届きません。
- クラミジア:同上
- 梅毒:血液・体液中。グリンスは届きません。
- 尖圭コンジローマ:ウイルスなので元々効果がありません。
- ヘルペス:同上
- B型肝炎:同上
- HIV:同上
効果が無いだけでなく危険を伴う
効果が無いだけなら気休めの役割はある(だますことなので本来あってはいけませんが)と捉えることができますが、尿道に入った場合は激痛を伴う大事故になります。
ペニスが縮んだ状態からグリンスで洗ったとします。現れた刺激でペニスが勃起を始めます。ペニスが勃起をすると海綿体に尿道も引っ張られます。引っ張られた尿道内は体積が増える為気圧が下がります。気圧が下がると外にあるものが尿道内部に吸い込まれます。それがグリンスで有った場合、尿道の粘膜は激しい痛みを伴う炎症を起こします。炎症が起こると白血球が集中して大量の膿が出ます。
もうそうなったらプレイどころではありません。
【実際、筆者はグリンスが尿道に入り激しい痛みと大量の膿が出て、泌尿器科に罹り医師に接待にグリンスなんか粘膜に使っちゃいかん‼と大怒られした経験があります。】
性感染症予防専門機関のHPを観よう
性感染症予防を呼びかける各専門機関のホームページを観て下さい。グリンスの使用を推奨するどころか、グリンスのグの字も出てきません。
実際に性病チェックの効果が認められているなら、専門機関が何かしらコメントをするはずではないでしょうか。
見方を替えれば、グリンスの効果を信じているのは風俗業界だけで、世間的には「そんなことで防げるわけがない」ことを知っているのかもしれません。
グリンス神話がもたらすもの
風俗嬢にとっての性病のリスクは一番の不安要素でしょう。
それが予防できると言われれば、風俗嬢の皆さんの安心感は計り知れないものだと思います。
知っていても知らなくても罪なんです
業者側としても女性を勧誘するのに安心材料として提示できるので、大きなメリットがあります。
業者が効果が無いのを解っているのか、解っていないのかは知りませんが、仮に解っていて嘘の情報で風俗嬢を安心させていたとしたらどうでしょう。
その店は働く側と客側どちらに対しても嘘を付いて営業していることになります。
知らなかったとしたらどうでしょう。
食中毒の知識が全くないのに、食べ物を売る店を想像してください。同じことです。
騙すことも無知も被害を被る人がいる以上罪なんです。
安心感がもたらすもの
グリンスで性病チェックをしているから安心・・・安心だからお金掛るし検査しない・・・
この店は嬢にグリンスを徹底させているから安心・・・ちょっと違和感があっても性病のはずがない・・・
その先にあるもの 性病の共有・蔓延
グリンス信者の皆さんが信じているものっていったい何なのでしょう?お店ですか?担当ですか?オキニの嬢ですか?
性病予防は自分の体を守る事、布いては家族の人生を守る事なんです。もっと興味を持てませんか?
こんなことはちょっと調べればすぐにわかります。
グリンスのようなパッと見ただけの情報を信じ込まず、いくつかの見解を総合して判断してください。
性従事者にとって性病の問題はそれだけの価値はあるのではないでしょうか。
風俗嬢が性病から自身を守るには
今のところ手立てはありません。
布いて挙げるとしたら、粘膜を露出せずコンドームをかぶせ手袋着用で相手の体液と触れ合わないよう手コキする。キス無し。
こんなことで営業は成り立ちませんよね。
現状のスタイルでしたら何をどうやっても性感染症を防ぐことはできません。それよりも正しい知識を身に付けて、こまめに検査をして症状を重篤化させない、感染を拡大させないことに勤めるべきでしょう。
因みにイソジンによるうがいは、性病菌(ウイルス)に一定の効果が認められます。
イソジンの有効成分であるポピドンヨードは、酸化することで効果を発揮します。なのでうがいをするときは充分効力が発揮される様に最低30秒は続けましょう。
どうしても男性性器が気になる方は、グリンスよりイソジンで洗う方が粘膜に優しいので良いかと思います。
貴女をだます相手を信じてはいけません
検査をこまめに受けるには検査代に見合うバックが得られる店を選ぶ必要があります。
スカウトの言いなりや求人広告だけを当てにするのではなく、男性が観る側の情報サイトなどで掲載順位や口コミをチェックすることも大切です。
また検査を義務付けない店には勤めてはいけません。そんな基本的なことをないがしろにする店は、問題が起きても何もしてくれないことは明白だからです。
グリンスを使っていれば検査を受けなくても大丈夫だからなんて言う輩は論外と思ってください。
自信を守るためにもお店選びは厳しい目で行ってください。
最後に
いろいろ書いては来ましたが、グリンスがこれだけ都市伝説化してしまってる以上、店との兼ね合いもあるでしょうから簡単に明日からは使いません、とはいかないでしょう。
ただ、真実はここにある事はお解り頂けたかと思うので、この知識を少しでも広めていって頂ければ、性病も減って本当の意味での安心感が増えると思います。
まあ、そこそこ遠い未来の話しにはなってしまうかもしれませんが…