皮膚ダメージとアロマオイル
ドイツのルール大学ボーフムの研究者らによると、古くから香料として使われてきたサンダルウッド（白檀）に創傷治癒や皮膚再生を促す作用があることが7月8日、「Journal of Investigative Dermatology」誌に掲載された。
今回の研究では、皮膚の最も外側の層を形成するケラチノサイトにも、においを感知する嗅覚受容体があることを確認した。サンダルウッドの香りは、この受容体を活性化するため、細胞分裂が促されて傷の治りや肌の再生の向上が見られるという。
ヒト皮膚細胞の培養物を用いた実験では、受容体のうち「OR2AT4」で、Sandalore（合成白檀）の香りによって活性化されることを発見した。活性化したOR2AT4受容体は、傷の治りを促すカルシウム依存性シグナル経路を繋げ、その結果として、皮膚細胞の増殖という効果も確認されている。
日本では古来、線香の香「白檀」としてなじみのあるサンダルウッドは、主にインドに生息するビャクダン科の香木。最古の医学とも言われるインドのアーユルヴェーダでは、薬品として用いられ、やけどや日焼け後の皮膚のお手入れへの効用が説かれている。
出典 美容経済新聞
薬の元となる植物、そこから抽出したアロマオイル。ここでは女性誰しもが気になる皮膚ダメージに対するアロマオイルの効能をご紹介したいと思います。
皮膚の組成とUVダメージ
皮膚は表皮（ケラチノサイト）、真皮（ファイブロブラスト）、皮下組織から構成されていて、生体内部の保護や体温調節などの役割を果たしています。
また、表皮最下層の基底層にはメラニンを産生するメラノサイトが局在しています。
これが紫外線（UV)などの刺激に曝されると、皮膚障害（ケラチノサイトでの細胞死）が起こったりメラノサイトでの過剰なメラニンが作られたり・ファイブロブラストでのコラーゲンの生産性の低下が起きてしまいます。
このように、皮膚が UV に繰り返し曝露されると、酸化ストレスによる障害が蓄積して、シ
ミ・シワを特徴とする「光老化」が引き起こされるんです。
アロマオイルで光老化を修復
この光老化を抑制修復するのに効果が期待できるのがアロマオイルでのマッサージなのです。植物の薬効成分を皮膚組織に擦り込むことによって、ネガティブな皮膚の状態を直接的に改善させるというものです。
一口にアロマオイルと言っても2つに大別されます。一つはホホバオイルやスウィートアーモンドといった植物性のオイルでマッサージオイルのベースになるものをキャリアオイルといいます。もう一つは、ラベンダーやローズ・ユーカリなど花や果実・樹皮から採った香りや薬効の元になるエッセンシャルオイルです。
アロママッサージで使うオイルは狙った効果に合わせて、キャリアオイルに1％未満のエッセンシャルオイルをブレンドして作ります。
効果の決め手となるエッセンシャルオイルですが、その種類は300種以上。効能も香りもそれぞれ違いますが、中にはマッサージには適さなかったり、使用量を間違うと強い毒性を発揮してしまうものもあるので使用には充分な知識と注意が必要です。
光老化を修復するエッセンシャルオイル
薬剤で細胞死させた皮膚をエッセンシャルオイルを使って修復させる実験の結果です。
マジョラム精油は肌の回復に高い効果が認められます。また酸化ストレスを抑制する効果があるため、紫外線による光老化（酸化ストレス依存皮膚障害）を抑制する可能性があります。
またメラニンの生成を抑制する効果はサンダルウッドに特に顕著にみられました。サンダルウッドにはメラニンの生成自体を抑制するだけでなく、その生産を促進する律速酵素も抑制する効果があることが認められました。
忘れてならないのがコラーゲン。肌の潤いに欠かせない成分ですが、このコラーゲンを回復する効果が強いのがレモングラスだという結果が得られました。
参考文献
Japan Journal of Aromatherapy Vol. 22, No. 1, 2021 酸化ストレスによる皮膚障害を抑制する精油の探索と機能解析
全体をまとめると
紫外線（UV）ダメージを回復させるにはアロママッサージが効果的。
エッセンシャルオイルにはメラニンの生成を抑制する効果があるサンダルウッドを軸に抗酸化作用のマジョラム・コラーゲン産生効果の高いレモングラスをブレンドして使用するのが効果的。
表皮（ケラチノサイト）には嗅覚受容体があり、これをサンダルウッドが刺激し細胞分裂を促進しダメージ回復を促進する。つまりサンダルウッドは表皮にも真皮にも有効的に作用する。
おもちゃのGENので使用するマッサージオイルには、この三種のエッセンシャルオイルの他に、香りのバランスを取りながら、女性機能に寄与する物を数種類ブレンドしています。
紫外線ダメージのみならず、乾燥や婦人科系、メンタルにも効果が期待できる処方となっていますので、ご興味のある方は是非お試しください。
