東京人と友達になろう
皆さんにとって東京に住んでいる「東京人」ってどんなイメージですか?
東京に来るに当たって、食べ物や街等の情報は簡単に調べることができますが、人の気質ってなかなか難しい所ではないでしょうか。
でも、就職や就学・転勤で東京に住むとなると一番不安なのが、そこに住んでいる人たちとうまくやっていけるかという事ではないでしょうか。
人が動きにくい地方都市と違って、毎年多くの人が流入する東京は気質が読みにくいという特徴があります。しかし、東京ならではの状況を良く分析してみると、東京人の気質が段々と見えてくるんです。
今、東京人が理解できなくて辛い思いや不安な気持ちでいる方には、少しでも東京人を知ってもらって今置かれている現状から良い方向へ向う手助けになれたらなんて思っています。
そしてちょっとでも何か藤原幻がお役に立てることがあればご用命いただければと思っています。
第一章 東京都民を知ろう
先ずは東京都民を知ることで少しでも不安を払しょくしましょう。
日本全国から集まった多様な人達が東京でどのような変貌を遂げているのか、その経緯と共に見ていきましょう。
東京都民=江戸っ子?
平成31年1月のデータで、外国人を除く東京都の人口は13,189,049人、1年間で増えた人口は73,201人なんだそうです。
出生数がおよそ11,000人ですから、62,000人が日本中から転入してきているといえます。
全国の市の人口と比べてみると、山形県天童市の人口とほぼ同じです。天童市は全国792市の424番目の人口です。
これは毎年中堅規模の市が東京都に飲み込まれてしまっているとも言えます。
ちなみに日本の総人口に対する東京都の人口の割合は1割以上です。
東京都の面積は2188㎢その内森林部が4割、そこから伊豆諸島や小笠原の島の面積を引くとザックリ911㎢が産業や生活の場になっていると言えます。
これを都民1人当たりで換算すると69㎡(21坪)でバドミントンのコートとほぼ同じです。
また日中都外から流入してくる人口241万人を加算すると57㎡で私鉄1両分と同じになります。
これは居住空間ではありません。川も公園も道路も線路もひっくるめた1人当たりの面積です。
ここには旅行者と外国人は含まれていないので、さらにこの面積は狭くなります。
また東京都民は3代続くと江戸っ子と認められる風習があります。
元々人の寄せ集めで100万人都市になった江戸が基本ですから、そんな風に「江戸の人」というステータスを決めていたんでしょう。
日本人の平均寿命が男女合わせて84歳なので84年前の1935年の東京都の人口と比べれば今現在どの位の「江戸っ子がいるのかわかるかもしれません。
この計算ではひ孫はいないものとして考えます。
日本の総人口は‘35年から1.8225倍に増えました。
これを‘35の東京都の人口6,369,919人に掛けると1,160,827人になります。
この人数がいわゆる「江戸っ子」の人数と言えるでしょう。
現在の東京都の人口と比較すると9%しか「江戸っ子」はいないということになります。
なので「あいよ!」とか「てやんでい!」「~っとくらい!」なんて言う人にはまず会えないと思った方がいいでしょう。
東京都民の気質
現在の東京は過密人口の他道府県民の寄せ集めであることがわかりました。
一見、寄せ集めに特別な気質はないだろうと思うかもしれませんが、それはそれで結構あるんです。
過密と異郷の人々が醸し出す特有の気質を紹介します。
冷たい?東京都民
地方の何代も続くコミュニティーでは、単身で来たものに対して自分達に馴染ませようといろいろおせっかいを焼いたりします。
これはホームとアウェーに例えるとよくわかります。
ここは自分達のホームだから一人でアウェーは可哀そうと思ったり、ホームを乱すような人物か否かを早く確かめる必要があったりするからだ。
またコミュニティーが隔絶された小さな村や街だとはなから疎外されてしまうことがあります。
コミュニティーの関りが濃すぎると、外の人とのコミュニケーションの方法がわからなくて誰かが関りを持つまで自分は持たないようにしようとするからそんな逆の状態もあるようです。
東京は密接な状況で関わり合わないのが難しい状況にありながら、一生懸命関わらないように努めています。
不思議な話ですが、それは近隣住民全員がアウェーだからです。
地方から出てきた人ばかりではリーダーがいないし、どう関わったらいいのか教えてくれる人がいない。
つまり地方都市のような先に関わってくれる知り合いがいないのです。
そしてどんどん周りには知らない人が増えていって、ご近所に誰が住んでいるかもわからなくなってしまうのです。
さらには価値観が多様な知らない人達だらけなので、関わり方を間違えば嫌われたり誤解をされることにも繋がり兼ねません。
そうなると一番楽な選択肢は「なるべく関わらない」ことです。
「東京の人は冷たい」と地方でよく聞くんですが、「冷たい」のではなく「関わりたくない」のです。
この関わりたくない気持ちが「困っている人を助けない」という行動に顕著に表れます。
完全にアウトな状態でしたら何人かは助けてくれるでしょう。
しかし「困った」にも軽いけど助けてくれるとありがたいことってありますよね。
そんな時、東京都民は基本的に見て見ぬ振りです。
声を掛けて変な人と思われたらどうしよう・・・何か良からぬことを企んでいるといると疑われたらどうしよう・・・断られたら格好が悪い・・・本当は困ってなかったら気まずい・・・周りから変な風に思われないか・・・そもそも自分が助けるべきなのか?他にこんなにたくさん人がいるじゃないか。その誰もが助けないんだからこういったときは本当は関わらない方がいいんじゃないか?
勿論ちゃんと助けてくれる人はいます。
でも圧倒的多数はこんな感じです。
大阪の様に同じ県民性・同じ価値観であれば行動するのにためらいはないのですが、東京は悪く言えば寄せ集め。あちこちから様々な県民性や習慣を持った人が大勢集まっていると、元々謙虚な国民性を持った日本人なので、自分の感じた思いで行動することにためらいを感じてしまうんです。
本当は親切なんだと思いますが、様々な価値観が渦巻く東京は人の気持ちを萎縮させちゃうんですね。
人の目を気にする
人口密度が高いので一歩外に出れば多くの人の目に触れる東京都民。
松山千春の歌じゃないですが「田舎者と~悟られぬよぉ~」服装や流行には気を使います。
また会社等の関りが浅いコミュニティーでは、ちょっと奇抜だったり的外れな言動をすると「変な奴」「面倒くさい奴」というレッテルを張られ「関わらない」方がいいと思われてしまいます。
昨今はパワハラ等も問題になっているのでそれを注意したり指摘することも躊躇したりするので、それこそ関わらない方向性が強くなっていっていきます。
しかしそうなっては社会生活が上手くいかないので、人の目を気にしてコミュニティーの色を履き違えないように気を張っているのです。
若者の流行の発信基地で常に新しく奇抜なファッションや食べ物で溢れる原宿。
一見人の目を気にせず個性的に振舞っているように見えるのですが、実は皆が「原宿の流行」を履き違えないように気を張った結果、維持されている流行なのです。
そもそも,それぞれが個性を主張したら流行なんて生まれませんからね。
それは東京の他の街にもあって、新宿は大人の装い、渋谷はカジュアルな流行のファッション(でも原宿とは全く違う)、池袋は種々雑多な街、銀座は高級ブランド、六本木はチャラい格好、秋葉原はメイドにオタク等々細かく言ったらきりがありませんが、東京駅周辺に至ってはでは「丸の内」と「八重洲」でファッションだけでなく食べ物の流行まで違います。
コミュニケーション下手な東京都民も、人間ですからコミュニティーに入っていると安心するんです。
安心したいからそこから外れないように、常にアンテナを張って人の目を気にしながら気を張っているのです。
矛盾した話ですけどね。
折角の人口密度が極めて高い巨大なコミュニティーなのに、そこでの人間関係は「関わりたくない」気質の東京都民なので0に近いくらい希薄です。
この様に人間関係の希薄な巨大コミュニティーは作れても、関わりたくない気質のせいでご近所の小さなコミュニティーはなかなか成立しません。
異質な下町
東京都民全てがこの様な気質かというと実はそうでもありません。
いわゆる下町と呼ばれる地域はちょっと違います。
下町と言っても観光地化されてしまった浅草や谷中は変わってしまいましたが、葛飾区や江戸川区、江東区の城東地区の町工場が集まる地域には昔ながらのコミュニティーが今も残っています。
その辺りには「ステテコ爺さん」もいますし「おっかないババァ」もいます。
そう言った地域は街を変えるくらいの大きな開発の波がまだ来ていないので、古くからの住人が多くコミュニティーの人間関係も濃厚です。
東京都民のより所
いろいろ偏見込みで書いてきましたが、そんな東京都民にも唯一と言ってよいコミュニティーがあります。
それが「家族」です。
だからと言って特に大切にしているということではないのですが、端的に言えばその位しかないのです。
東京都民にとって信じられるのは家族ぐらいしかいないんです。
その特性を突かれ、オレオレ詐欺の被害が全国1位になってしまったりという哀れな現状があります。
家族は無条件に信じる→相談したり忠告するようなコミュニティーがない→自分の判断だけで行動→簡単に引っ掛かるといった具合です。
東京都民のプライド
東京都民の心の中には「東京在住というプライド」が存在します。
日本経済・文化・流行の中心である東京に自分は住んでいるということが何よりも誇らしいのです。
常に最先端な刺激を受け洗練された環境で世界を相手に仕事をしているということが他の地域の人たちには映るか。
今や世界が憧れるファッションや流行の発信地で最も早くそれを身に付け着飾る自分が他の地域の人にはどう映るか。
地価や物価が日本一高いところに住めて買い物ができて食事もしている自分を他の地域の人はどう思うか。
何よりも人の目を気にする東京都民にとってこの状況はとても誇らしい環境なのです。
「東京って凄いね」と言われると「そんなことないよ」と言いながら心の中では「そりゃそうだよ」と喜んでいるんです。
東京都民にとって「東京在住」そのものが大きな価値なんです。
東京都民の取説
プライドが高い東京都民には、取り敢えず「褒めること」が大事。
「東京って凄い」「東京に住んでいるって凄い」と持ち上げておけば機嫌良く「いやいや、そうでもないんだよ」と答えてくれるでしょう。
なかなか距離感があって仲良くなり辛い東京都民ですが、根気よく軽めの挨拶を続けチャンスが来たら褒めてあげれば急にお裾分けを持ってきたり都民の方から距離を詰めてきたりします。
基本的に関わりたくない東京都民なんですが、相手が自分に対して悪意を持っていない、地方出身で自分の方がまだ上だと思うと実際は寂しいので関りを持とうと思い腰を上げるようです。
そこで仲良くなったからと言って一気に距離を詰めると突き放されてしまいます。
東京都民はあなたを下に見ているから関わろうと思ったので、その辺りの関係性はもっと時間をかけて自然に距離が詰まるまで変えずにいきましょう。
第一章の最後に
東京都民のこと、何となくわかってもらえたでしょうか。
まあ、極端に書いているのでそうではない場合もたくさんありますので悪しからず。
今後東京についていろいろテーマを変えて書いていくつもりですので、楽しみにしていてください。
増えたらカテゴリーからも行けますし、この下にリンクを貼っていきます。